なぜ「わだ家」の人気は続くのか?継続力につながる飲食店企画の4つのポイント

2007年、1号店と2号店をオープンし、いまも人気を集める「わだ家」。その人気を支える要素のひとつに、当社の水本が和田アキ子さんと練りに練った企画があります。
「なぜ、和田アキ子が飲食店を?」という世間の疑問に答えるストーリーづくりから、メディア露出を視野に入れたメニュー開発まで、水本が関わった「わだ家」誕生の舞台裏を公開します。
Q.和田アキ子さんとの出会いについて、教えてください。
和田アキ子さんとの出会いは、長年お付き合いのある菅生新さんからのご紹介でした。
和田アキ子さんの事務所から菅生さんに、「和田が飲食店をやりたがっている。どなたかサポートしてくれる方はいませんか?」という問い合わせがあり、「それなら水本さんがいいですよ」と、僕の名前を出してくださったんです。
Q.推薦を受けてから、どんな準備をされたんですか?
企画書とプレゼンテーションの作りこみです。
食ブランドプロデュースは基本的に、お店をやりたい方と面談して、「どんなお店をしたいのか」「お料理は何が好きか」「どこで、どんな客層を集めたいか」といったご希望をうかがってからお店づくりが始まります。
でも、ご依頼主は多忙を極める和田さんです。そんな時間はなかなか捻出できません。
もっといえば、「なぜ、和田アキ子が飲食店をやるのか?」の出店ストーリーからメニュー開発、内装まで、全てを考えてほしい、というのが和田さんとその事務所からのオーダーでした。
情報ゼロからのスタート。そこでまず、僕の会社の従業員を対象に、アンケートをとりました。
和田さんへの一般的なイメージを集めて整理し、企画書に落とし込むことで、「なるほど、和田アキ子のお店ならこうなるよね」と、世間が納得するかたちにする必要があるからです。
アンケートで多く出てきた「芸能界のご意見番」「背丈、手、足が大きい」というイメージと、調べあげた和田さんが好きな料理をかけ算して、6本の企画書を作ってプレゼンにのぞみました。

Q.運命のプレゼンは、どうでしたか?
ひたすら、「なぜ?」と聞かれる時間でしたね。
例えば、居酒屋というビジネススタイル(業態)の企画書では、「なぜ、この業態を選んだのか?」から始まって、「なぜ、この場所で?」「営業時間は?」「内装は?」。
お持ちした6本の企画書に対して、「なぜ?」と、全ての意図を問われました。
でも、この「なぜ?」はとても大切なポイント。お店に来るお客さまは、「なぜ、芸能人の和田アキ子がお店をするの?」と思いますよね。
当時はほかの芸能人のお店が流行っていたので、納得できるストーリーがないと、「ブームに乗っかっているだけの一発屋」に見られてしまう可能性もありました。
全ての「なぜ」に、和田さんが納得できる答えを用意するまでにかかった時間は7~8か月。企画書も合計で5~6回はやりなおしたんじゃないかな。
やりとりを重ねるうちに和田さんのデビュー40周年が迫り、「お母さんがつくる、思いやりや温かみのある食べ物を食べられるお店を、デビュー40周年の機会に開こうと思いました」という始まりのストーリーが生まれました。
ここでようやく、お店づくりの具体的な話が始まったんです。

Q.業態やお料理のジャンルをどうするか、というお話しですよね。
はい。約18の料理ジャンルを検討したうえで、豚肉のしゃぶしゃぶのお店をご提案しました。
和田さんも、そのまわりの方々も、美味しい牛肉はたくさん食べています。そんな人たちに、「この牛肉美味しいやろ」とオススメするのはいまさら感がありました。
そこで、当時はまだ、それほど注目されていなかったブランド豚を使おうと思いついたんです。
出汁をくぐらせた豚しゃぶに、お好みの塩をつけて食べる方法と、大阪で昔から食べられている『あぶらかす(牛の小腸を油で揚げて乾かしたもの)』を出汁に浮かべる食べ方、2種類でいこうとご提案しました。
関東ではあぶらかすを知らない人も多いので、あぶらかすを説明する和田さんは、テレビで取り上げられやすいだろう、という計算もありましたね。
和田さんは、「私たちは夜中にしか食事に行けない。そうなると、開いているのは脂っこいものを出しているお店になる。焼いたお魚を食べられるようなお店がいい」という思いも持っておられたので、その気持ちを満たすメニューとして、全国から取り寄せた一夜干しとお漬物も加えました。
生のお魚ではなく一夜干しにしたのは、調理がさほど難しくなく、日持ちがするためです。調理の難易度を下げることと保存性は大切な要素ですから。


業態もメニューも決まり、念願の西麻布で物件も見つかって、「お菜屋 わだ家」は、和田さんがデビュー40周年を迎えた年の、和田さんのお誕生日である4月10日にオープンすることができました。


Q.長い道のりだったと思いますが、やり遂げられた要因は?
僕の会社の理念は、「未知への挑戦」なんです。和田さんとのプロジェクトは、挑戦そのものでした。
菅生新さんが僕を和田さんに推薦してくれたとき、僕はもう何十業態もの飲食店を手がけていて、業態づくりに情熱を失いかけていました。
そんな僕にとって、和田さんはまさに未知の存在。
この“未知”への挑戦が面白く刺激的で、やり遂げることができたと思っています。
そしてこの経験は、食で人をもてなし、楽しんでもらう僕のエンターテインメントの、本当の出発点にもなってくれました。


水本の企画力:4つのポイント
1. 徹底したリサーチと客観的データの活用
自分のイメージだけに頼らず、従業員アンケートで和田アキ子像を客観視。
「芸能界のご意見番」「背丈、手、足が大きい」といったデータと、和田さんの好きな料理をかけ算することで、偏りのない企画書を作成しました。
2. 全ての「なぜ?」を共感に変えるストーリーづくり
「なぜ和田アキ子が飲食店をするのか」「なぜこの業態なのか」。和田さんからの質問全てに納得できる答えを用意するため、7~8か月かけて企画書を5~6回やり直し。顧客目線の疑問を先回りして解消する姿勢が、ブランド価値を高めました。
3. メディア露出とビジネスの継続性を両立させるメニュー設計
ブランド豚の豚しゃぶと、関東では珍しい「あぶらかす」でメディア露出を計算。同時に一夜干しを採用することで調理難易度を下げ、食材の日持ちも担保。話題性確保、展開のしやすさを同時に満たすメニュー開発を実現しました。
4. 提案を続ける粘り強さと「未知への挑戦」精神
18もの業態を提案しても決まらない状況でも諦めず、ビジネスモデル変更を機に新たな提案を実施。情熱を失いかけていた自分にとって、和田アキ子という「未知の存在」への挑戦が、プロデューサーとしての原点回帰になったとふり返っています。

続く、わだ家のストーリー
先日、和田さんと久しぶりにお会いしまして、近々新しくおばんざいの店をやりたい!と仰っておられました。
という事で、新しいお店や、今のわだ家を一緒に盛り上げてくれるパートナーを募集します(笑)
ご興味がある方は、是非お問い合わせください。