Mz Column コラム

食イベントプロデュース完全ガイド|出店者選定から安全管理まで、プロが教える食イベント運営ノウハウ

毎日放送(MBS)が主催する大型フードフェス「はらぺこCIRCUS」。
3回目の開催となる2024年から当社の水本が、食イベントプロデューサーとして関わっています。

今回は、「はらぺこCIRCUS」のプロデュースを通して確立させた、「メディアが取材したくなる話題づくり」や「1日1000食以上の大量調理を可能にするオペレーション指導」、「食品衛生法に基づく徹底した衛生管理」といった、食イベントの企画・運営ノウハウを公開します。

食イベントプロデュースの課題「出店者の固定化とメニューの偏りを解消する方法」

毎日放送から食イベントプロデュースの相談をいただいたのは、大型フードフェス「はらぺこCIRCUS」が3年目を迎えるタイミングでした。

「はらぺこCIRCUS」の課題は、出店者の顔ぶれにありました。

多くのフードイベントでは、イベント出店に慣れたお店が集まりやすい傾向にあります。
そうなると、フードイベントが好きな人ほど、「いつものお店ばかりだな」と感じるようになります。さらには、メニューにも偏りが出てしまいます。

フードイベントでは、こうした出店者の固定化が深刻な問題となります。

変わりばえがしない内容の場合、メディアは「番組で取り上げる価値が低い」と考えて取材を見送ったり、取材をしても短時間の放送に留めてしまうからです。

僕が取り組んだのは、フードイベント未経験のお店、それも予約が取りづらい隠れた名店を口説いて出店してもらうこと。
これが水本流の、フードフェスの価値を高める第一歩でした。

イベントのメディア露出を最大化する出店者選定「取材の依頼が増える“初出店”“初取材”戦略」

「フードイベント未経験の名店」に出店してもらうことには、大きな意味があります。
一番喜んでくれるのが、イベントの主催者です。

「噂の名店が、イベント初出店」というネタは、メディアが絶対に取り上げたくなる独自コンテンツ。
有名チェーン店は、イベント参加者もテレビ番組を見る人も既に知っています。
しかし、“グルメ通だけが知っている名店”が、「取材を受けるのは、毎日放送さんが初めて。フードイベントへの出店も、テレビ出演も今回が初めてです」と言えば、イベント参加者は「ぜひ食べてみたい」という気持ちをかき立てられますし、メディア側の“取材したい熱”も高まります。

僕が実践しているのは、フードフェスのたびに、そういう「ロケで取り上げたくなるお店」数十店舗に出てもらうこと。

メディアが取り上げたくなるお店がいくつも出店していれば、これらのお店を中心とした企画が組まれ、イベント自体も何度も放送されます。
くり返しテレビ番組に登場すると、イベントの認知度も当然高くなり、来場者も増える。
こうして主催者と出店者が喜ぶハッピーな循環を生み出すことができたら、出店者は繋がりのあるほかのお店のオーナーを紹介してくれます。
そうすると、僕も新しい繋がりができて嬉しい。こんなふうに、どんどん広がっていくわけです。

紹介だけに頼らず、今でも1日に数店舗は飲食店に足を運んでいます。
例えば、フードイベントを開催するのに、30店舗の出店者を集める必要があるとしましょう。

この30店舗を選ぶには、何百店舗ものお店を回る必要があると、僕は考えています。
わざわざ胃袋を使って、わざわざ足を使って、時間もお金も使ってはじめて、いいお店と出会える。
出会えたら、「よければフードイベントに出てくれませんか?」と声をかける。
こうした地道な積み重ねもまた、愛される食イベントづくりに必要なことです。

大量調理オペレーション指導「1日1000食を実現するメニュー開発と仕込みの効率化」

出店者が決まった後も、食イベントプロデュースの仕事は続きます。

「はらぺこCIRCUS」は、各店舗が1日1000食を販売するほど人気があります。
このフードフェスは5日間ですので、合計5000食ですね。

普段、1日30食から50食を提供しているお店が、いきなり1日1000食に挑戦するわけです。

「はらぺこCIRCUS」に限らず、こうした大型フードフェスに出店する方のほとんどが気づいていないのが、調理数が10倍・20倍になると、調理方法そのものを変えなければいけない、という事実です。

例えば、お味噌汁をつくるとしましょう。まず、30食のお味噌汁と300食のお味噌汁では、具材への火の入り方が違います。
お湯を沸かすにも、30食なら5分で済むところ、20分から30分かかってしまう。
お味噌を溶くタイミングを誤ると、煮詰まりすぎて塩味がきつくなる。
こうした大量調理を行う時の計算式を、ほとんどの出店者は持っていません。

そこで僕が、ふだんお店では1日何食提供しているかといったキャパシティーを聞いたうえで、メニュー開発もお手伝いします。

「1000食ぶんの食材は冷蔵庫には入らないし、100㎏単位の野菜や肉、魚を手で刻むのは現実的ではない。野菜をカットする業者にお願いしてみてください。どんなふうに切ってほしいか、指定もできます」

こんなふうに、一つひとつの工程を、具体的に指導しています。

出店者30名を集めるのは、ほかにもできる方はいます。
ただ、出店者に伴走して、こうしたメニュー開発のサポートやオペレーション指導ができるプロデューサーは、いないんじゃないでしょうか。

労働基準法遵守の労務管理「スタッフの満足度を高める考え方」

仕込みの効率化は、単なる時短策ではありません。
労働基準法に基づく労務管理という、重要な目的もあります。

例えば、イベントが終わってから玉ねぎ200㎏をカットすると、おそらく3〜4時間かかります。
その作業を済ませて帰宅して、翌朝7~8時にまた出勤するとなると、スタッフの睡眠時間が確保できなくなるのは、簡単に予想できます。

法令遵守のためにも、適切な労働時間管理は必須です。
また、疲れると注意が散漫になって、指を切るなどのケガや、調理の際に適正な温度管理ができなくなって食中毒のリスク上昇につながる事態にもなりえます。
スタッフに無理をさせすぎて、「イベントには二度と出たくない」と思われてしまうのも、もったいないお話しです。

だから僕は、労働基準法をおさえたうえで、楽しく仕込みをして楽しく料理を出す、イベントの楽しみ方を教えています。

食品衛生法に基づく食中毒対策「万が一を生まない客観的なチェック体制」

フードイベントの運営で、僕たちが一番危惧しているのは食中毒です。
これだけは絶対に起こしてはいけません。

僕が関わる食イベントでは、食品衛生法が食品等事業者に対して義務づけている衛生管理のもと、パトロール隊を編成しています。

パトロール隊の役割は、各店舗の調理チェックです。
忙しくなってくると判断力が低下して、火が通りきっていないのにお皿に盛ってしまうことも起こりえます。

危険な気配は、スタッフさんの様子を見ると分かります。
仕事に追われて余裕がないお店を見つけたら、パトロール隊を派遣。
調理中の食材の中心温度を温度計でチェックして、調理に問題がないか見直してもらっています。

野外で、ふだんの何倍もの食材を調理するわけですから、どんなベテラン出店者でも食中毒のリスクはゼロではありません。
パトロール隊という第三者の目で、客観的にチェックできる体制を整えています。

戦略的なブース配置とスポンサー対応「トラブルを未然に防ぐ細やかな気配り」

フードイベントの運営では、出店者同士の間をつなぐことも重要です。

「はらぺこCIRCUS」では、運営側と、全ての出店者とが料理とお酒を囲んで交流できる、顔合わせの機会を事前に設けています。

顔合わせの時間を設けるのと設けないのとでは、当日の様子が全く違います。
知らない人と隣り合わせで仕事するのは不安ですが、事前に知りあっていれば協力し合えますからね。

お隣同士がフォローしあってくれると、僕たち運営側もやるべきことを絞りこみ、フォローの質を上げられるので、助かるんです。

もう一つ、強制ではないのですが、皆さんにお伝えしているのがスポンサーへの感謝です。

イベントでは、お金を出してくれるスポンサーがつくことがほとんどです。
そのスポンサーがイベントを見に来てくれたとき、ブース内にライバル社のドリンクが置かれていたら、ちょっと悲しい気持ちになると思います。
イベント中は、なるべくスポンサーのドリンクを買ってみる。
他社のドリンクを買う場合は、ラベルを剥がしておく。
こうした気遣いについてもお話ししています。

スポンサーも含めて、来場者、出店者、主催者、みんなが気持ちよく過ごせて、楽しく終われるイベントづくり。それが僕の、食イベントプロデュースの特徴です。

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